Pages

2012/06/07

美食の国フランスの知られざる食料事情──フランスと世界でいちばん食べものを捨てているのは誰?

「世界で、そしてフランスで、食べものをいちばん無駄にしているのはいったい誰なのか?」── その答えを探すべく、様々な資料を紐解いていくと、そこからは意外なことがわかってきます。 現在、地球全体では、60億(1)の人口を十分に賄えるだけの食糧が生産されています。ところが、世界の82カ国では、十分な食料が得られていない現状があります。 アルバル社の行った調査結果から垣間見える、フランスでの食品廃棄の実態を探っていきましょう。


フランスでもたくさんの食品が捨てられている

フランスでは、買った食品の21%が廃棄されています。その量は年間560万トン、一人当たりにすると年間89.9キロになります。

ちょっとびっくりするような数字ですが、これを金額にすると年間一人当たり430ユーロ(約43,000円)にもなります(2)。


想像以上に食べものが捨てられている

アルバル社の調査によると、フランス人は食べ物を無駄使いしているという意識は少なく、捨てている量は買った食品のせいぜい6%ぐらいだろうと思っています。

けれども、実際には、ゴミ箱行きになった21%の食品のうち、半分は無駄にせずに済んだはずなのです。

最近行われた調査によると、フランス人は毎年約20㎏の食べものを捨てています。そのうち7㎏は未開封の食品13キkgは傷んでしまった野菜や果物、料理の食べ残し、そして使い残しの食品です。

どんなものが捨てられている?

捨てられる食べ物の半分を占めるのが果物と野菜、次に多いのが家庭料理の食べ残し、そして調理済み食品です。

さらにショッキングなことに:フランスでは、食料の30%が、封も切らずに捨てられています。つまり、全く手もつけられずにスーパーのカートからゴミ箱へ直行!というわけです。

この悲しい現状を認識しさえすれば、フランス人は、自分たちの悪しき習慣を自ら変えようとするのではないでしょうか。
  • 上記の調査によれば、88%の消費者は、食べものの無駄づかいはやめるべきだと考えていて、そのうち80%は、そのために食品の保存方法についてもっと知りたいと思っています。

食料の無駄づかい──食料を一番台無しにしているのはどこ?

フランス一の無駄づかいをしている地域圏はイルドフランス(パリとその近郊市)で、平均の食料廃棄量は一人当たり年間114.5kgにもなります。

一方、無駄づかいが一番少ないのはオーヴェルニュ、リムーザン、ポワトゥーシャラント、サントルの各地域圏で、66.8㎏。



さらに、バスノルマンディー、ノルマンディー、ブルターニュ、ノールパドカレー、ロワール地方、ピカルディ、アキテーヌ、コルシカ島、ラングドックルシヨン、ミディピレネー、プロヴァンスアルプコート・ダジュールといった西部や南部の地域圏では、81.8㎏の食料を無駄にしています。そして残りの地域-ブルゴーニュ、シャンパーニュアルデンヌ、アルザス、フランシュコンテそしてロレーヌ地方では104.6㎏となっています。



食べものの無駄づかいにかかるエネルギーコスト試算

食品は、最も大きな温室効果ガス排出源です。生産から廃棄物処理までの食品ライフサイクルによる排出量は、フランス人一人あたりの総排出量の20%を占めています。

食品をムダにしたときの温室効果ガス排出量はどのくらい?
パン1本の無駄 パン1枚の無駄 牛ステーキ1枚の無駄 牛肉の1かけの無駄
車の走行距離 2.24km 0.15㎞ 4.89㎞ 0.49㎞
60Wの電球使用時間 32.13時間 2.14時間 70.05時間 7.01時間
食器洗浄機の使用回数 1.93回 0.13回 4.2回 0.42回
出典:ブリュッセル環境管理研究所


ヨーロッパにおける食料廃棄

ヨーロッパ全体では、買った食べものの約20%を廃棄しており、フランスとほぼ同じです。うちの30%近くが開封もされないままごみ箱に直行しています。
スペインでは年間1人当たり63.5㎏、ドイツは80kg、フランスは89.9㎏の食べものをゴミにしています。
やはり、5割が果物と野菜で、家庭料理と調理済み食品のの食べ残しです。

イギリスは劣等生

お隣のイギリスも私たちフランスに劣らず食べものをたくさんゴミにしています。

イギリス政府の統計では、イギリスは毎年800万トンもの飲食物を捨てています。その半分以上はまだ十分食べられるものでした。
  • イギリスの食品廃棄は、金額で年間一世帯あたり500ユーロ以上にのぼります。国全体では4.1億トン、13億ユーロにのぼり、イギリスの年間温室効果ガス排出量の2.4%を占めています。

フードロスは世界的な問題

UNEP(国連開発計画)の統計によると、食料の流通段階での損失とムダは年間1,000億ドルにものぼります。ちなみに、2008年にUNEPが世界の飢餓対策に使った費用は35億ドルにすぎません。
  • 食料損失のおもな原因は、各国の食品基準(基準を満たさないものが廃棄される)、先進国の消費者によるムダ、そして動物の飼料(穀物の50%が動物の飼育に使われている)です。

  • 国連食糧農業機関(FAO)によると、地球全体で失われたり無駄にされる食料は年間13億トン、世界の食料生産量の3分の1にのぼります。
つまり、全体では世界の食糧生産量の3分の1〜半分近くが消えてしまっていることになります。その一方で、餓死する人がいるというのに…。

[2012.07.18完了]

(1) 国連の2011年版「世界人口白書」によると、2011年10月31日に世界人口が70億人に到達したと推計されています。
(2) 2011年3月に、世論調査機関TheConsureViewが、ドイツ、フランス、スペインの1500世帯とスウェーデン、ベルギー、ロシア、オーストリアの1000世帯を対象に行った調査。


 関連ビデオ



0 件のコメント:

コメントを投稿