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2013/09/05

レシピから広がるフランスの食と農:ヒヨコ豆の粉でつくるニース名物 Socca (ソッカ)

ヒヨコ豆の粉で作るニース名物 Socca
コート・ダジュール Côte d'Azur へ行くと、道ばたの屋台で焼きたてのソッカ socca を昔ながらの円錐型に丸めた紙に入れて売っているのを見かけます。ニースの旧市街にも、ソッカを食べさせる露天や、ソッカをメニューに加えているレストランがあります。

1人前2.5ユーロ(約300円)と安いので、労働者の朝の腹ごしらえとか、貧乏人の食べものと言われています。その昔、ニースの漁師はこれを食べてから漁に出たそうです。現在は、アペリティフやアントレとして、あるいは立ち食いの昼食として食されています。よく冷えたロゼ・ワインを一杯やりながら食べるのが定番です。

ソッカは、できればオーブンから出したてのアツアツにコショウを振り掛け、手で食べるのが流儀。表面サクサク、中ふんわり——この美味さのカギは焼き方にあります。冷めると硬くなってしまい、油がギトギトしてきて不味くなります。なので、店で買ったときは、その場で、できるだけ早く食べてしまわなければなりません。出来たてでないといけないので、客の回転の速い店でなければ美味しいソッカは食べられません。昼食時ともなると、評判の店の前では客が長蛇の列をつくっていて、すでに注文した自分のソッカが焼き上がるのを待っています。新たに来た客に店員が待ち時間を告げます。焼き上がったガレットを店員が天板の上で6〜8枚に切り分けます。

この地方の典型的な庶民料理は、ひとまとめに「ニース料理」と呼ばれていますが、ソッカもそうした料理のひとつ。他に有名なのは、パン・バニャ pan bagnat(painではありません。円パンを上下半分に切った間に、マグロやオリーブの実、生野菜をはさんだサンドイッチ)、プチ・ファルシ petits farcis(種を除いたトマトにひき肉を詰めてオーブンで焼いたもの)、ズッキーニの花の天ぷら beignets de fleurs de courgettesピッサラディエール pissaladière(トマト、チーズ抜きのピザ。パン風の厚みのある台の上によく炒めたタマネギ、ニンニク、アンチョビーなどを載せて焼いたもの)。露天の店などに入ると、メニューにこれらのご当地料理がならんでいて、いっしょに食べることもよくあります。この地方の有名レストランのメニューに並んでいることもありますが、ソッカだけは別。ソッカはあくまで急いでパクつく庶民料理なのです。

そんなニース名物料理soccaの本格レシピをご紹介しましょう。


材料

6人分
  • ヒヨコ豆の粉:250g
  • 水:500cc
  • オリーブ油:大さじ2(このほか天板用に大さじ4)
  • 塩:小さじ1

準備

Soccaの材料はたったこれだけ。このため、20世紀初頭まで、ニース旧市街を代表する名物料理soccaは貧しい人たちの食べ物でした。
  1. ボールに水を入れる。
  2. そこにヒヨコ豆の粉を振り入れ、泡だて器でよく混ぜる。
  3. 塩とオリーブ油を加え、生地が均質になるまでよくまぜる。
  4. この生地を、油をひいたピザ用かオーブン用の天板に流し入れる。3mm以上に厚くならないようにします。
     メモ:Soccaを焼くときはスズメッキをした丸い銅板を使うのが昔からのやり方です。

調理
  1. オーブンを最高温で10分間予熱する。
  2. オーブンをグリルモードにし、soccaを載せた天板を上段に入れる。
  3. 焼き時間は7分前後ですが、焼き色に気をつけながらしっかり焼きます。
メモ:soccaの調理にはピザ用のかまどを使ってもいいです。薪で焼くと、いっそう美味しくなります。
  1. オーブンから出したら、すぐにコショウを振って切り分け、アツアツをいただきます。

書いた人:オードレ | 作成:2009年4月29日 | 更新:2011年5月11日

日本語版作成:今津頼枝、斎木明子、竹田恭子、寺田加代子、深澤靖子
(CSフランス語受講生のみなさん)

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